paper cup のふちに残る体温 駅前の影が短くなる正午 通知は点滅 でも読まずにスルー 言葉は薄荷 噛んだあとブルー ビル風 シャツの裾だけ攫って 今日という名のファイルを開いて 既読にも未来にも急かされる そのくせ心拍だけ自由でいる アスファルトの照り返し 白いスニーカー 黙るつま先 信号待ち みんな少し無表情 その沈黙ごとビートに流用 昼下がり 輪郭だけが先行 中身はあとで追いつけば結構 完璧じゃないテンポの歩幅 ずれたままでちょうどいいグルーヴだ 冷めかけのラテ 机上の光 ポスターの端がわずかに反り 現実はたぶん修正液じゃない だからこそ線を引く指がきれい 街路樹の葉にバスの影 反射で揺れるガラスの群れ 名前より先に気配が届く そういう午後にだけ鳴るリズム 昼下がり 輪郭だけが先行 中身はあとで追いつけば結構 きれいごと抜きの呼吸のままで 生活と枠が重なる断面 改札 雑踏 自販機の青 要件だけの会話、その余剰 意味より先に質感が残る 今日も世界はフォントみたいに詰まる カーニングの甘い看板の文字 ベースラインずれたままの路地 きっちりしない美しさがある その乱れだけ拾って運ぶ 昼下がり 輪郭だけが先行 中身はあとで追いつけば結構 急がなくても都市は回るし 僕らは僕らの枠で滑走 昼下がり 輪郭だけが先行 ずれたままでいい 僕らは僕らのはくで滑走