「震えて飛び立つ翅は さて 何処へ行くのか…」 忘れ得ぬ恩讐に 「朽ちても」と 遊びながら遥かで誰かが叫ぶ 日々月日ただひとりで 火影送り奉る孤月に震え 「翅を高々と掲げる」 乾いた手を繋ぎ 空を迎え浮かぶ 天より地を睨みつけ 匂い経つる静怨たちを喰らっても尚 耳底に聞こえた 「見るがいい…」 「まさか」 耳底に聞こえ続けた… 「あれはそうか…」 「まさかまさか」 「あの見姿は…」 「…然り」 天日に微塵を捻り潰し 深く置いて嘲笑う 一縷の光彩も無いと罵る 自らを省みる事なく 這い寄る川辺は眼前に広がり 湿った腐沼の大河に 翅の皆々 抜け落ちて溺れ それでも藻掻きながら生きる 何万里も離れた天と地より 誰かと謳う人は宣う 「…斷翅猶問生之義」 可哀想なまでに讐義 それ以外の誰かは 「心の翅が震えている…」 彩雲の切れ間に あの伸びた粘糸が見えるか 極限の天から地に 黒雨が降り注ぐも 己の意味は知らず 一粒 また一筋 苦輪に翅を焼かれても 至当を高らかに謳う 痛みを患いながら… 腕の中で消えて逝く 愛蟲撤灯の明日を 本気で願っても 終灰のように虚しいだけ… 有限の天から地に 星光が降り注ぐも 生の意味は解らず 一粒 また一筋 生転に翅をもがれても 至原を厳かに謳う 痛みに耐えながら… 風は遠くなり 谺の糸牙だけが聞こえる 幾千幾兆の夜の先に まだ見ぬ翅は舞っていた 「明日こそ捕らわれませんように…」