夕闇に溶ける煙突の影 吐き出される白い息は 誰かの祈りか それとも嘆きか 見分けがつかぬまま空に消える 錆びた線路の継ぎ目を数えて 歩く足音だけが規則正しく 置き去りにされた街の記憶が 僕の背中を引き留めようとする 時計の針は進み続ける 過去を焼き尽くしながら 灰になった日々の上を 僕らは歩いている 残光が射す地平線へ! 煤にまみれた翼で飛ぼう 燃え尽きることを恐れずに 一瞬の輝きを抱いて 朽ちていく世界の隅で それでも咲こうとする花のように 煙の向こう側に見える 微かな光を信じて 古びた時刻表に記(しる)された もう来ない列車を待つ人々 約束という名の幻影に すがりつく指先が震えている 透明な嘘で塗り固められた この街の表層を剥がせば 誰もが抱える傷痕が 血の色で滲んでいる 砂時計が落とす影は 容赦なく僕らを追い越す 立ち止まることは許されず ただ前へ前へと! 残光が消える前に! 煤だらけの声で歌おう 沈黙に埋もれる前に この想いを刻み込んで 壊れていく日常の中で それでも息をする意味を探して 煙の隙間から覗く 希望の欠片を掴んで 錆びついた歯車が軋む音 それが僕らの呼吸だとして 油を差すことも止めることも 誰にもできないのなら せめてこの摩擦熱(まさつねつ)で! 凍えた心を温めよう 燃え尽きる寸前まで 生きた証を残そう! 残光に照らされた影が 煤煙の中で踊っている 消えゆく前に叫ぼう この存在の証明を 朽ちていく運命ならば せめて美しく散りたいと願う 煙の彼方に広がる 虚無さえも抱きしめて 夕闇が街を飲み込んでいく 煙突は今日も息を吐く 明日という名の幻想を また一つ空へと放って