
朝の白い息 コーステープがゆれる 靴紐の結び目 鼓動と同じ速さ ナンバーカードの下で 胸が小さく鳴る 「まだいける?」の問いは 自分に向いている スタートの号砲より 怖いのは沈黙 歩道の端で 君が手を振った 上手さより **角度(むき)**がいる 大声より 温度の在りか **拍(はく)**をひとつ 息を合わせれば 沈黙さえも 合図になる マラソンの沿道 「がんばれ」より 「ここにいるよ」で 靴裏の不安が 少しだけ軽くなる 見知らぬ旗が 風でうなずいて 心 × エネルギー(エネシン)= 進む力 たった一歩が 次の一歩を連れてくる 給水の紙コップ 指先で震える 抜かれても負けじゃない ペースは自分のもの 君が肩の高さで そっと親指を立てる その角度だけで 景色が明るくなる 増やすより 削っていい 飾りはいらない 真ん中の温度 「私」から「あなた」へ 主語をひとつ替えたら 距離のメモリが ひとつ縮む マラソンの沿道 息が乱れて 言葉にならなくても 短い合図が 回路を温める 「つらかったね」を 目線で置いたら 心 × エネルギー(エネシン)= 灯る回路 ゼロだった式に 灯りが差し込む (無音の一拍) 正しさよりも あなたの痛点(いたみ) 触れない距離で そっと守る (無音) 足音と手拍子が 同じ速さになる マラソンの沿道 角度・温度・拍がそろったなら 届かなかった声が 歌へ変わる 「ここにいるよ」を 風にのせて 心 × エネルギー(エネシン)= 変わる世界 フィニッシュテープの手前でも 君のうなずきが 灯台みたいに光る ゴールの先で 呼吸を分け合う 沿道に置いた合図が 道の続きになる


