
白い粉 指でなぞった 夕焼けだけが 少し大人びて見えた 西日の残る商店街 ぬるい風が髪を揺らす 「また来たの?」って笑う声 少しでも背伸びしたくて コンビニ前の反射光 知らない香り 真似してみる 子供扱いされたくなくて リップだけ 濃く塗った オシロイバナ 揺れていた 帰る時間を急かすみたい もう少し もう少し 夜もいられたらいいのに 夕暮れに 咲く花みたいに あなたの前だけ違う色 白い粉が 指についたまま 「送るよ」って 言われるたび うまく笑えなくなる 門限だけが近づいて 大人になりたいふりして まだ夏にもなれていない 自転車押して歩く道 街灯がひとつ灯り出す 並んだ影が伸びるたび 少しだけ黙ってしまう 無防備に笑う横顔に 夜風ばかり触れていく 知らない話を聞くたびに 遠くへ行きそうで怖かった オシロイバナ 咲く頃には 空の青さも変わってしまう 「また明日」 その言葉だけ 何回も胸に残った 夕暮れに 咲く花なのに 朝になったら消えてしまう 指についた 白い粉だけ 帰り道まで残ってる 触れそうなくらい近いのに なぜだか少し遠く見えた 子供のままじゃ嫌なのに 大人になるのも怖かった 自転車のベルが響いて 子ども達が 帰っていく 「もう帰るね」って言うたびに 咲ききれず夜が終わる 夕暮れに 咲く花みたいに 短い時間だけ綺麗だった 白い粉を 指で払って 子供みたいに手を振った 門限前の恋だから 夜には まだ届かなくて あなたに会える夕方を 今日もどこか待っている

