どうして まだ生きてるんだろう その問いだけが 枕元に座ってる 答えなんて 誰も教えてくれないまま 今日もカーテンのすき間から 光だけが差し込む 必要とされないって 何度も数えた 通知も鳴らないスマホを 裏返したまま 鏡の前で ため息を一つ 「醜い」って言葉だけが やけに馴染んでいく だけど あの日 手を握ってくれた人は たしかに 私の名前を呼んでいた 私じゃなきゃ埋められなかった ささやかな席が 世界のどこかにあった 役に立つかどうかで 価値を測る世界で 「ごめんね」が 口癖になったけれど それでもこぼれてしまうのは 誰にも命令されていない 私の癖だ ここにいていい理由なんて 本当は いちいち証明しなくていいはずで 息をしている それだけで 世界と 細い約束を交わしてるのかもしれない 笑えてなくても 輝いてなくても 誰かを羨んで うずくまる夜でも 「まだ生きてる」という事実だけは まだ赦されてるっていう 動かない証拠なんだろう 失敗の数だけ 自分を嫌いになって うまくいかなかった日々を 全部「価値の無さ」の証拠みたいに並べては 自分で自分を 裁いてきた それでも あの日書いた 震える一行のメモに 救われた誰かが もしかしたらいるかもしれない 私が流した 見られない涙が 誰かの孤独を 少しだけ軽くしてるかもしれない 「そんなの妄想だ」って 真っ先に否定するのも やっぱり私で けれど この痛みの深さだけは 誰かの痛みを想像できる 稀な力だと思いたい ここにいていい理由は 誰かの期待を 完璧に満たすことじゃない 傷だらけで 揺れている心が まだ「感じている」ってこと それ自体が答えかもしれない 笑われてもいい 間に合わなくてもいい 比較のレースから 降りたっていい 「もう無理だ」と呟きながらも それでも今日を生ききったという事実が 私をこの世に そっと抱きしめてくれている もしも 世界の言う「価値」が 持ち物や肩書きで決まるのなら 私が両手で抱きしめてきた 見えないものたちは どこへ行けばいい? 不器用な愛し方しか知らない私を それでも好きでいてくれる誰かが 過去のどこかに 未来のどこかに 静かに息をしている気がしてる 「生きていてごめん」と言うたびに 本当はずっと逆の言葉を 喉の奥で 飲み込んでいた 「生きていてほしい」と 本当は 誰かに言ってほしかったんだ ドク ドク ドク… その一拍ごとに 世界は 私の存在を もう一度 受け入れているのかもしれない ここにいていい理由なら たくさん並べられなくてもいい 完璧じゃない心のかたちで 今日も世界と ぶつかってきたこと それだけで 本当は十分なのかもしれない 誰かの基準に届かなくても 若さも美しさも 取り戻せなくても それでも「痛い」と感じている私は まだ 優しさを捨てきれていない証拠だ この優しさを抱えたまま ここに存在し続けていること それが 私が生きていて赦される理由だと いつか信じてみたい 明日も生きるかどうかなんて 今日の私に 決めさせなくていい 「とりあえず もう一息だけ」 その小さな選択の積み重ねが 私の人生という ながい詩(うた)になる 必要とされる前に ここにいる私のことを 世界のほうが 先に赦しているとしたら 今日 それを信じられなくてもいい 信じられないまま ただ もう一度だけ息をしてみる そのたびに とても小さな声で 自分に向かってつぶやいてみる 「それでもいい ここにいていい」