
雨に追われ 辿り着く村 時が止まった 古き廃屋 しのぐ屋根なく 身を寄せれば 蜘蛛の巣まとう 荒れた寝床 薬の小瓶 欠けた十字架 奥から響く かすかな声 雨音のあいだ 聞こえる響き 怨嗟にしては やわらかすぎて 音はささやく 朽ちた宿に 呪いじゃないと 風に紛れて 誰かが残した 祈りの影が 静かな夜に まだ生きている 村へ戻れば ひとりの老人 濡れた姿に 声をかけた そんなところへ 入ったのかと 顔を曇らせ 首を振るう 一夜の灯 ともしてくれて あそこはみな 呪いの宿だ 近づくなと 言い伝え られている 旅の巡礼宿 そこに沈んだ 旅人たちの 怨嗟が残る 場所だという 昔この地で 病が流行り 人が消えたと 聞いたことがある 何があったか 知る者もなく ただ噂だけ 残っていると 老人の目に 揺れる火の影 言葉にならぬ 何かを映す 音はささやく 朽ちた宿に 呪いじゃないと 風に紛れて 誰かが残した 祈りの影が 昼の光を まだ待っている 朝を迎えて 雨が上がれば 昼の広場に 光が差した 静かな歌を そっと奏でる 人々の足が 次第に止まる

