Interlude∶詩研の彼女 〜通過儀礼のショートカット〜 【序文】 「通過儀礼」は、多くの場合“経験”によって語られる。 けれど、人によっては、 触れられずに、傷つかずに、 それでも確かに“境界を越える”瞬間が訪れる。 このInterludeは、 詩研に所属する一人の少女が、 年下の少年との静かな時間の中で 自分の“基準”が書き換わる音を聞いた話。 痛みも事件もないのに、 世界がそっと変わる瞬間の記録。 【本文】 あれれ、どうしちゃったのかな? 顔が熱い。 ドキドキする。 ただ隣にいるだけの 年下のメガネくんなのに。 理屈をつけて、 リスクを避けて、 それを“理想”だと思い込んで、 胸の奥の不安は ずっと見ないフリをしてきた。 あ、わかった…… 私、怖くないんだ。 二人っきりで、 何も起きてないのに── それでも落ち着いていられる自分がいる。 ああ、こんなのズルいよ。 だって「はじめて」って、 もっと息苦しくて、切ない痛みの中だと思ってたのに。 触れてもいないのに、 私の基準(ルール)は 知らないうちに書き換わっていた。