東雲に滲む 細い風 柳は影を 垂らしてる 灯籠 風に 揺れるたび 夜がさらに 深くなる 足音さえも 眠る頃 風鈴がひとつ 鳴いていた 誰もいないはずなのに 呼び声が ついてくる 振り返らないで まだ 見なくていい 柳の影が 君を呼ぶ おいで おいで 夜はやさしく 手招いて おいで おいで 笑う声が 近づいて 呼び水 ひとつ 気配は 消えないまま おいで おいで 帰り道は 忘れて のたうつ影が 月を呑む 柳の先で 息をする 遠く灯る 夏の火は 夢か現か 揺らめいて 東雲までは まだ遠い 夜は静かに 深くなる 振り返れば 誰もいない 風だけが 通り過ぎる 夜が 呼ぶ 君を 呼ぶ 何も言わなくていい 何も見なくていい 風鈴の音が 何度も 何度も 夜を繰り返す おいで おいで 影はゆっくり 増えてゆく おいで おいで 君も宵に 消えてゆく 東雲が来て すべて溶けるその前に おいで おいで おいで... おいで...


