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苦味は正しかった

V6

[Verse 1] 朝の七時 眠たい目をこすって 君は僕より少し早く起きる 寝癖も直さないまま台所で 二人分のお湯を沸かしていた 君はいつだって不器用だから 分量なんてちゃんと計らなくて 渡されたカップに口をつけて 「今日も苦い」って僕は笑った 「ごめんね」なんて言いながら 君も隣で笑っていた そんな何でもない朝がずっと 続くものだと思っていた [Pre-Chorus] あの頃の僕は知らなかった 幸せっていうものは 甘いだけじゃ 気づけないこともあるんだって [Chorus] 君が淹れてくれたコーヒーは もっと苦味があったな 今の方がずっと飲みやすいのに なぜかあの日が恋しいんだ 砂糖もミルクも好きに入れて 僕好みの味になったけど 「苦い」って言ってた時の方が 僕らはずっと美しかった [Verse 2] 君がいなくなったこの部屋は 思ったよりちゃんと回ってる 好きな時間に起きられるし コーヒーだって上手くなった 文句を言う相手もいないから 静かな朝は平和なはずで 飲みやすくなった毎日なのに 楽しさだけが少し足りない 嫌いだった苦味がなくなって 暮らしは少し楽になった なのに失くしたものばかり こんなにもよく見えるのはなぜだろう 不器用な君は僕にとって 大事なものだった 上手にできないことだらけでも 君なりに愛してくれていた [Chorus] 君が淹れてくれたコーヒーは やっぱり苦味があったな 「もう少し薄くしてよ」なんて 何度も君に言ってたっけな 眉をひそめる僕の向こうで 申し訳なさそうに笑う君 「苦い」って言ってたあの朝が 今ではやけに美しく見える [Bridge] ひとりになって濃く淹れてみた 豆を増やして お湯を減らして あの日と同じくらい 苦くしたはずなのに 何かが足りない もう少し濃くしてみた それでも何かが足りない そこでようやく分かったんだ 苦いから嫌だったんじゃなくて 「苦い」って君に言いたかった 美味しいから飲んでたんじゃなくて 君と飲む朝が好きだった [Last Chorus] 君が淹れてくれたコーヒーは もっと苦味があったな 今の僕ならあの一杯を 美味しいって言える気がするよ 君の不器用さも 僕のわがままも 二人で笑えたあの時間も 「苦い」って言ってた時の方が 僕らはきっと美しかった 今は飲みやすくなったけれど 楽しさは少し減ったみたいだ あんなに嫌いだった苦味さえ 今では愛しく思えるんだ [Outro] 今日もひとり 少し濃く淹れてみた ちゃんと苦い あの日くらい苦い だけどやっぱり 何かが足りない もう同じ味じゃなくていい 同じ朝じゃなくたっていい いつかまた誰かと笑いながら 「苦いな」って言えるような またどこかで この苦いコーヒーに出会えたらな。