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薔薇色陰鬱日記(ゆめのなかはにじいろ)

V4.5+

ねえ、きこえる? 誰かが私を呼ぶ声がするの 夢の中でくるくる回る たとえば天使が遊びに連れ出したのかもしれない 朝が来るたび墨色に染まる窓辺 さりげなく寝台のそばには 桃色の小瓶に眠りの雫 今日もまた…薬のうた 身体中に咲いた後悔の花 右手の蔓、左手の傷 深く、もっと深く、誰か私を飼いならして 忘れたくって、忘れきれなくて 冷たい愛に縋って 壊れかけた機械仕掛けの音箱が 「おやすみ」を三つ数えてくれるの くるくるくるくる、回る指先 甘く毒ある薬の匂い 目が回り、天井が踊る 愛して、愛して、私を壊して! 祈るように口づけて 出鱈目な熱をください あなたの声だけが世界だった ──この痛みさえ、祝福なのね? こつり、と鳴った隙間の記憶 白昼夢の中、私は雷に打たれた人形 正しさなんて飾りもの、誰も気づきやしないのだから 林檎色の注の痕、昨日より少し滲んでた 「好き」と「消えたい」が混ざる夜 その境い目で溺れてゆくの 名前?忘れてしまった ほら、誰かが隣で眠るたびにみんな消えてゆく その温もりも、その声も 明日にはもう影絵になってるのよ 「またね」なんて言わないで 泡になって消えてしまうのだから 今日が最後ってわかっていた なのに、抱かれる腰が震えてた とん、と落ちてく胸の中 音もなく鳴り渡ったのは 虹色の稲妻── やっと、やっと、自由になるのね… ほら もうすぐ… 溶けてく… 気持ちいい… 心まで… くるくるくるくる もっと狂って 泡立つ快楽 ひらひら舞って 薄い皮膜が破れたとき 虹が弾けて、世界が笑った さあ、すべてを飲み込んで 声も想いも指先も、全部 消えてく前に、一目だけ 「愛して」って叫ばせて ぱぱぱ るるる ひ ひ ほらほら いま、いま、消えてしまうの ぴりぴり ちかちか はらはら 切ないわ 誰もいない部屋の隅で 小さな心臓が、ぎゅうっと鳴った それは祝祭でもあり 残り香でもあった── ふたりきりの世界で 最後まで君と溺れられたなら もう十分だった 薬の海に沈みながら 私は笑った だってこんなに綺麗なのよ この虹のような この、最期の世界が── いちばん、しあわせ いちばん、やさしい夢