久しぶりに鳴った電話 聞き慣れた声がした 元気かなんて聞く前に お前の方から聞かれたよ 他愛もない話の途中 ふと途切れたその声に 何かあったかと尋ねても 何でもないと笑ってる 強がる癖は誰に似た 返す言葉を探しながら 短い相槌を打っていた 声はこんなに近いのに お前はこんなに遠くにいる 泣きたい夜があるのなら その髪くらい撫でてやりたい 伸ばしたところで届かない この手をそっと膝に置く 小さな靴を並べては 玄関先で待っていた 帰りが遅いと拗ねながら 眠れば肩に寄りかかる 大きくなったと喜んで 小さな変化を見落とした 声はこんなに近いのに お前はこんなに遠くにいる あの日の小さな手のひらが 今もこの手に残ってる もう届かないわけじゃない ただ今夜は届かない 何を守ってきたんだろう 何を残してやれただろう 答えの出ない夜もある 今さら戻れぬ日々もある 声はこんなに近いのに その髪ひとつ撫でられない 離れていても変わらない そんな言葉じゃ足りなくて 何でもない日の何でもない お前の声を聞いていたい 明日になったら電話しよう 用事なんて何もないけど 今度は俺から……かけるよ