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インド人の元カレ(Real Story)

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V6

十五年まえ インドの大学で ヨガを学んでた そこで出会った ひとりのインド人 ヨガに情熱 知性は上々 どこか未知なる その存在感 私たちは一気に 恋に落ちた 二人でヨガをして 呼吸が重なり 身体が重なり 宇宙がひとつに なった気がした 運命だと思った。 ……ある日までは。 彼は言った。 「僕は昔、 人に呪いをかけた。」 マジかよ。 インドだし。 ヨガだし。 まあ、 そういうことも あるのかな。 そう思った。 そしてある日。 いつものように 二人でヨガ。 すると突然、 触れていた手が ガタガタ ガタガタ 震え出した。 何かがおかしい。 顔を見た。 その瞬間、 息が止まった。 さっきまでの彼じゃない。 悪魔のような目。 目の奥から 何か別のものが こっちを見てる。 そして、 低く、 聞いたことのない 恐ろしい声で 唸り始めた。 部屋の空気が 変わった。 私は凍った。 彼は唾を吐きながら ドシン。 ドシン。 ドシン。 部屋中を歩き回る。 そして突然、 バタン。 床に倒れた。 そして私に、 「僕の背中を 思いっきり蹴っ飛ばしてくれ!!」 …… いや。 勘弁してよ 悪霊に取り憑かれた彼と 真夜中に二人きり。 本気で怖かった。 恐怖で身体が震えたのは生まれて初めてだった。 演技なのか? 本気なのか? わからない。 でも、 彼に意識を向けすぎると、 もっと深く、 その世界に 引きずり込まれそうだった。 だから私は、 見ない。 考えない。 気分を変える。 部屋の隅へ行って、 本を開いた。 読むふり。 ページをめくる。 目だけ動かす。 内容なんて、 ほとんど入ってこない。 ただ、 彼を見ない。 そして、 あの異様な気配が 消えるのを待った。 しばらくすると、 静かになった。 何事もなかったように 彼は私を見て言った。 「よかった。」 「これを君と 分かち合うことができた。」 「これが僕の 瞑想法なんだ。」 私はもう、 言葉がなかった。 さらに彼は、 「君と一緒に、 これから修行していきたい。」 そう言って、 一冊の本を渡してきた。 開いてみた。 そこに書いてあったのは、 死体の上で瞑想。 そして、 生理の血を飲む。 私が知っていたヨガとは、 まるで別世界。 その瞬間、 私は悟った。 悟りじゃない。 ここにいる場合じゃない。 逃げる。 私は日本へ帰った。 そして彼と別れた。 それでも届くメール。 「僕はいつまでたっても 君の先生だ。」 …… 既読。 無視。 既読。 無視。 ずっと無視。 そして今でも たまに思う。 もしあのとき、 彼と一緒になっていたら。 もし結婚していたら。 私は今ごろ、 何をしていた? 朝起きて、 旦那とヨガ。 昼になったら、 死体の上で瞑想。 …… いや。 やっぱり 日本に帰ってよかった。 人生には、 分岐点がある。 私の場合、 あの日、 日本行きの飛行機に乗った。 あれはたぶん、 私の人生で一番正しい アーサナだった。