Song Cover Image

紅白の檻は花か鳥か

V4.5+

ひとひらの蝶、和らぐ影のすきま 誰が葉に名をつけた? 誰が色に意を持たせた? 目で裁くな、指で測るな この肉体も、風の仮宿 桜も牡丹も散るときは同じ けれど「紅」には艶、「白」には従 縫い目の違いで値札が変わる 帯の締め方が違えば器量が測れる 「女は弱くて儚いもの」って、 誰が台詞を書いたのだ? 「男は強くてぶっきらぼう」って、 誰が舞台を敷いたのだ? わたくしを“らしさ”で囲む檻 それはいずれ咲かぬ柵、 誰のための劇か知らぬまま 客席に誰もいなかった 紅の檻に咲く花は 白に滲んで名をなくす 桃と菊と、男と女、 全部、嘘だ、塗り損じた筆だ 誰が誰を彩るの? 声まで性を持たせて 眼差し一つですべてを分類 「あなたは、どちらですか?」 おごそかに装えば“姫”と呼ばれ 遊び心あれば“小僧”と嘲られ 下駄の音高ければ浮世離れ 黙っていれば“淑やか”扱い 舞踏会にドレスを忘れた子は 舞台裏で針を呑まされた 「男の癖に泣くな」と笑い 「女の癖に笑うな」と叱る 言葉、ことば、コト罵(ののし)り 意味のない冠が、重い 雲と霧では何が違う? 私とあなたに境(さかい)はある? 胸に刻んだ鏡は 割れたままで、映しているだけ らしく、らしく、らしさの嵐 素顔を忘れた鏡の化身 男ならば盾か剣か? 女ならば花か毒か? 時に上、時に下—— 交われば、ただ人となる 紅白の綾(あや)に編まれた鎖 花か? 鳥か? 檻の中 無音の中で問う 「女らしさ」は誰の夢か? 「男らしさ」は誰の幻想か? 底のない器に入れられ、 溢れた感情はどこへ消えた? 紅の檻に咲く花は 白に滲んで名をなくす 桃と菊と、男と女、 全部、夢だ、行き交う風だ 誰が誰を造ったの? 縄文か平安の記憶か 生きている名はひとつだけ 「わたし」という灯火(ともしび) 闇と光がひとつになり 音が消えて、私になる 「さようなら、紅白の檻」 わたしは わたしを 咲かせよう