月明かりが 死んだ瞳を舐める 海は静かに 僕を腐らせる 呼吸をするたび 肺が軋んで 透明な痛みを 吐き出していた 夜は優しい 優しすぎて 壊れてしまう 「生きたい」なんて 誰の声だった? 耳の奥では 海鳴りだけが 何度も 何度も 繰り返す 「沈め 沈め」と 溺れる魚は 空を知らない 光の名前も 忘れてしまった 月明かりは 救いじゃなくて 傷跡だけを 白く照らした 心臓だけが 溺れていく 死ねないまま 夜を飲み込む 割れた水面に 映る僕は 誰の抜け殻だったんだろう 触れた指先は 冷たすぎて 命の温度を 思い出せない 神様はきっと 海の底で眠ってる だから祈りは 泡にもなれず 沈んでいく 愛も 夢も 希望も 魚の骨みたいに 散らばった 溺れる魚は 海を憎んで 海だけを 愛してしまう 逃げる場所など 最初から どこにもなかった 月明かりよ どうか照らさないで まだ生きていることが こんなにも 苦しいから 波が僕の名前を消しても 誰も気づかない 海の底で今日も 僕は静かに 溺れている


