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まだ守れますか?

V5.5

白い巨人が 村を見下ろす 赤い光が 夜を焼いた 小さなあたしは 手を伸ばした 父さんの背中が 炎に消えた 母さんの声が 煙に千切れた 弟の名前を 何度も呼んだ でもこの手は 誰にも届かず 守れなかった あの日のあたしが 今もここで 泣いている 瞼を開けたら 空が見えた 炎じゃなくて 青い空だった 吹きさらしの コックピットから 終わるはずの世界に 似合わないほど 鳥の声が 聞こえていた 動こうとした その瞬間に 身体じゅうが 痛みで叫んだ あたしはまた シートに沈んで 小さく 息を吐いた みんな 逃げられたかな ヨシュアさん あたしがいなくて 少しは 寂しがってくれてるかな まだ守れますか 声が聞いた 答えなんて 分からないのに まだ守りたいと 胸が答えた 怖いよ 痛いよ なくしたくないよ それでもあたしは ここにいる 割れた端末が 静かな声を 拾っていた 向ける方へ 少しずつ 言葉が 澄んでいく まだ 立てますか あたしは小さく 笑ってしまった 無茶言うなぁ 今動くだけで こんなに痛いのに 誰なの プロメテウスなの マリさんなの ルイスさんなの 違う これは通信じゃない あたしの中に 残った熱を 呼んでいる まだ守れますか 声が聞いた 答えなんて 分からないのに まだ守りたいと 胸が答えた 怖いよ 痛いよ なくしたくないよ それでも今 進むしかない 壊れたシールドに 手を触れた 冷たい鉄の奥に まだ温もりがあった 守ってくれたんだね 最後の最後まで あたしのことを ありがとう あたしを 守ってくれて 父さん 母さん ごめんね あの子を 掴めなかった 大丈夫とは 言えないけれど まだ終わりじゃないと 言ってあげたい だからもう一度 誰かの前に立つ まだ守れますか 空が聞いた まだ立てますか 光が聞いた 答えはいつも 痛みの中 それでもあたしは ここまで来たよ 守れなかった あの日の手を 守りたかった みんなの声を 今度こそ なくさないために あたしは今 盾を選ぶ 崩れた遺跡の 奥の奥で 人の光じゃない 明かりが灯る 奥の暗闇に 巨人が眠る 剣ではなく 砲でもなく ただ受け止めるための 白銀の盾 声が静かに 響いた 待っていました 適合者よ