Song Cover Image

夢、枯野をかけ廻る

V6

障子の隙間 吸い込まれる夜気  薬湯の湯気が 細く途切れてゆく 薄墨の影が 壁に揺れるたび  冷え切った指先は 筆の重みを忘れた 戸を叩くのは 大坂の木枯らしか 枕辺を去りゆく 足音の気配 骨に風を通せと 誓ったあの日の  遠い野分が 耳底で鳴り響く 熱の檻を蹴破り 肉身の重力を捨てて! 旅に病んで 夢は枯野をかけ廻る! 一筋の墨線となり 白紙の空を切り裂け! 凍てつく銀の尾花を 薙ぎ倒し 薙ぎ倒して奔れ!     編み笠の網目に 積もった深雪の重さ  更科の月 千鳥鳴く江野の果て 不易と流行の 狭間に刻んだ  足跡は疾うに 霜柱に埋もれた 細くなる呼気 灯火の芯が爆ぜる  門人の啜り泣きは 風の彼方へ消える 留まる理由など 何処にも無い 地平が呼んでいる 白黒の原野(ハラノ)が!     草枕 結び直す手もなく  旅に病んで  夢は  枯野を!かけ廻る!! 千年の荒野を超え 言霊は星辰(ホシトキ)と散れ! 何処までも 何処までも 終わりなき風と成れ!! 枯野の 風に 溶けてゆく  不易流行の 夢の跡  ただ 白い 空白の 中へ