
【Unaccompanied Gate】 Voice Airy: 藤棚(ふじだな)の下(した) 風(かぜ)だけが先(さき)に行(い)く Voice Power: 私(わたし)はまだ ここに立(た)っている Voice Airy: 美(うつく)しいものに 出会(であ)ったとき Voice Power: 人(ひと)はどうして 離(はな)れるのが怖(こわ)くなるの? Duo: でも花(はな)は 永遠(えいえん)に咲(さ)くためではなく 次(つぎ)の季節(きせつ)へ 色(いろ)を渡(わた)すために咲(さ)く 【First Color:花(はな)】 弘仁六年(こうにんろくねん) 三方(さんぽう)を山(やま)に囲(かこ)まれた 清(きよ)らかな場所(ばしょ) 弘法大師(こうぼうだいし)は ここに堂宇(どうう)を建(た)て 五色(ごしき)の藤(ふじ)を 植(う)えたと伝(つた)わる 紫(むらさき)だけではない 一色(ひといろ)ではない 違(ちが)う色(いろ)が 同(おな)じ風(かぜ)に揺(ゆ)れている 【Growing Refrain One】 花(はな)は咲(さ)く ただ咲(さ)く 誰(だれ)かを 引(ひ)き止(と)めるためではなく 【Second Color:願(ねが)い】 四十二歳(よんじゅうにさい) 自分(じぶん)の厄難(やくなん)を祓(はら)い 人々(ひとびと)の安寧(あんねい)を願(ねが)う 一人(ひとり)の痛(いた)みと 数(かぞ)え切(き)れない痛(いた)みを 同(おな)じ炎(ほのお)の前(まえ)で 祈(いの)り続(つづ)ける 薬師如来(やくしにょらい) 傷(きず)が消(き)えなくても 明日(あした)へ向(む)かえるように 心(こころ)の奥(おく)へ 小(ちい)さな光(ひかり)を置(お)く 【Growing Refrain Two】 花(はな)は咲(さ)く ただ咲(さ)く 風(かぜ)は渡(わた)る 次(つぎ)の枝(えだ)へ 誰(だれ)かを 引(ひ)き止(と)めるためではなく 【Third Color:修法(しゅほう)】 境内(けいだい)から さらに山(やま)へ 八畳岩(はちじょういわ)の上(うえ) 一日(いちにち) また一日(いちにち) 十七日(じゅうしちにち)の祈(いの)り 願(ねが)いは 一度(いちど)で届(とど)くとは限(かぎ)らない 今日(きょう)も 明日(あした)も 同(おな)じ場所(ばしょ)で 火(ひ)を絶(た)やさずに 繰(く)り返(かえ)すたび 心(こころ)は深(ふか)くなる 【Growing Refrain Three】 花(はな)は咲(さ)く ただ咲(さ)く 風(かぜ)は渡(わた)る 次(つぎ)の枝(えだ)へ 傷(きず)は癒(い)える 形(かたち)を残(のこ)しながら 誰(だれ)かを 引(ひ)き止(と)めるためではなく 【Blackened Interlude One】 (激(はげ)しいギターノイズ) 天正年間(てんしょうねんかん) 山(やま)を包(つつ)んだ 兵火(へいか) 並(なら)んでいた堂宇(どうう)も 積(つ)み重(かさ)ねた時間(じかん)も 炎(ほのお)の中(なか)へ 消(き)えていく 【Blackened Interlude Two】 (演奏(えんそう)が再(ふたた)び崩(くず)れる) 天保三年(てんぽうさんねん) もう一度(いちど) 火(ひ)が襲(おそ)った 守(まも)ってきたものが また灰(はい)になる なぜ 同(おな)じ悲(かな)しみを 二度(にど)も 越(こ)えなければならないの? 【Healing Cello】 (チェロだけが残(のこ)る) それでも 薬師如来(やくしにょらい)は 火災(かさい)の難(なん)を免(まぬか)れたと伝(つた)わる 声(こえ)を上(あ)げず 動(うご)くこともなく ただ 残(のこ)ることで もう一度(いちど) 始(はじ)められると伝(つた)えている 【Reconstruction】 万延元年(まんえんがんねん) 灰(はい)の上(うえ)に 新(あたら)しい柱(はしら)が立(た)つ 失(うしな)った時間(じかん)は 戻(もど)らなくても 未来(みらい)の時間(じかん)は ここからつくれる 壊(こわ)れなかったから 強(つよ)いんじゃない 壊(こわ)れたあとに 立(た)ち上(あ)がったから この場所(ばしょ)は 今(いま)もここにある 【Growing Refrain Four】 花(はな)は咲(さ)く ただ咲(さ)く 風(かぜ)は渡(わた)る 次(つぎ)の枝(えだ)へ 傷(きず)は癒(い)える 形(かたち)を残(のこ)しながら 道(みち)は続(つづ)く 灰(はい)の向(む)こうへ 誰(だれ)かを 引(ひ)き止(と)めるためではなく 【Dragon Ceiling】 見上(みあ)げれば 天井(てんじょう)を駆(か)ける龍(りゅう) 雲(くも)をまとい こちらを見(み)つめている 怖(こわ)がるなと 言(い)っているのか 試(ため)されるのは ここからだと告(つ)げるのか 答(こた)えはない ただ本堂(ほんどう)の脇(わき)に 細(ほそ)い道(みち)が開(ひら)いている 【Trailhead】 次(つぎ)は 焼山寺(しょうさんじ) 苔(こけ)むした石(いし) 急(きゅう)な坂(さか) 何度(なんど)も 足(あし)を止(と)めさせる 遍路(へんろ)ころがし 名前(なまえ)を聞(き)くだけで 心(こころ)が小(ちい)さく震(ふる)える ここまでの道(みち)より 険(けわ)しいと知(し)っている それでも藤(ふじ)は 行(い)く手(て)を塞(ふさ)がない 長(なが)い房(ふさ)を 静(しず)かに揺(ゆ)らして 背中(せなか)へ 五色(ごしき)の光(ひかり)を送(おく)る 【Five-Layer Refrain】 Voice Airy: 花(はな)は咲(さ)く ただ咲(さ)く Voice Power: 風(かぜ)は渡(わた)る 次(つぎ)の枝(えだ)へ Voice Airy: 傷(きず)は癒(い)える 形(かたち)を残(のこ)しながら Voice Power: 道(みち)は続(つづ)く 見(み)えない山(やま)の向(む)こうへ Duo: 私(わたし)は行(い)く 怖(こわ)さも連(つ)れて行(い)く 美(うつく)しい今日(きょう)に 別(わか)れを告(つ)げて まだ出会(であ)っていない 明日(あした)へ! 【Unresolved Departure】 藤井寺(ふじいでら) 花(はな)は 旅立(たびだ)ちを止(と)めない 咲(さ)きながら 見送(みおく)っている 帰(かえ)っておいでではなく 進(すす)んでいいと 揺(ゆ)れている (上昇(じょうしょう)するヴァイオリン) 次(つぎ)の一歩(いっぽ)は まだ答(こた)えのない 山(やま)の中(なか)へ――

