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三途の闇夜 -終焉の刻-

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V5

​消えた童の赤い風車 長屋の隅に  落ちてた形見 「 助けて 」なんて  声は聞こえない ただ湿った風が  頬を撫でる ​八百八町  親の泣き声 それが合図だ  仕事の時 握る薙刀 振り下ろせば 今宵の闇は 一段と深い ​丑三つ刻  霧が這い寄り 大橋の袂、現れた影 人だかりさえ  消う失せた道 あの子の匂い  辿って往く ​三途の河原  そこが根城か 嘘の結界を 蹴破り進む ここから先は  戻れぬ場所と 笑う髑髏を  踏み 抜いてやる ​霧を切り裂け  鈍色の薙刀 手招く指先  叩き落として 妖の主、巨大な顎 正体見たり、未練の塊 ​奈落の底で眠る子ども まとめて現世 連れ戻すまで 袖を翻し、 私は舞う ​人の弱みに  付け入る業か 闇に肥え太る河原の主 「 哀れ...な...だ 」 嘲る声に煙管の灰を  吹き付けてやる ​地獄の沙汰も  銭次第だと 抜かす奴には  引導を渡そう 生死の境で  啖呵を切るよ 私の管轄(シマ)で  好きにはさせない ​三途の川面が  激しく揺れて 月さえ隠した主の絶叫 逃がしはしない  この事件(やま)だけは 心の闇を 光で暴け ​引きずり戻した幼き命 江戸の夜明けを  背中で受けて 地獄の門ごと  葬って やる ​橋の向こうで  一番鶏が鳴いた やれやれ、高くつくよ  この掃除代は 煙管の煙が  朝焼けに溶け 私は独り 蕎麦でも手繰る ​「 さあ、江戸の朝へ 」