
[Verse 1] すれ違う廊下、冷たい横顔 「おはよう」だけの、事務の挨拶 誰にも見せない、ガラスの仮面 指先だけが、あの夜を憶えている 苗字で呼ばれる、昼間の私 夜は「真美(まみ)」と、名前をもらった 自分で始められないまま 手順があると、乱れていい [Chorus] 光の届かない、静かな部屋で 会社の私を、止めてもらう 「M(エム)」から「A(エー)」へ、イニシャルだけ 隠した想いを、ここだけに書く [Verse 2] 短い文面では、許されない夜 どこまで思ったか、何を噛んだか 恥ずかしいところを、省くなと言われた 書かされるたび、内面が長くなった おねだりは下手で、何度も止められる 何がしてほしいか、自分の口で 痛みが欲しいのではない 昼間の背中を、置いてほしいだけ [Bridge] 会えない時間は、乾いた疼き 命令のあとに、小さなお願い 震える指で、想いを書いて それでも礼は、残したまま 息は、あなたなしでもできる できないのは、会社の私を止めること 泊まる朝は、嬉しさが先に出て 並んでは、出社しない [Chorus] 冷たい上司と、丁寧な部下の 社会の仮面を、夜だけ外して 預けることだけが、夜のすべて 背徳ではなく、名前を呼ばれること [Outro] 明日もまた、何食わぬ顔ですれ違う ポケットの画面だけが、熱い 共犯の証拠は、残さない 握っているのは、名前だけ 「……お願いいたします」 まだ下手(へた)なままの、真美(まみ)です

