午前三時の 灯の落ちたカウンター  氷の溶ける グラスの音だけ  レジスターの脇 鎮座したアンタ  西日の煤けた 赤座布団の上  札束の匂い 酔客の毒杯  年中無休で 掬い集めてさ  麻痺した右肩 ピクリともせず  乾いた笑みを 貼り付けたまま  マッチの軸を 擦り落として  紫煙を吹きかける その耳元へ  白磁の肌が 冷え切ってるわ  バカね まだ手を上げてるの  年中無休の その腕を  今夜くらいは 下ろしなよ  千客万来 欲の垢  白磁の肩に 煙を吐いて  ただの猫に 戻りなよ  小判の金箔 指でなぞれば  人間の手垢で 黒ずんでいる  福を招いて 身代わりになって  アンタ自身は 何を手に入れたの  情けなんてさ かけないけれど  年に一度の 冷めたコップ酒  アンタの前に 置いてやるから  いい加減に しなさいよ  だれも 見ていやしないのに  意地を 張るんじゃないわよ  バカね もう誰も来ないわよ  ヒビ割れだらけの その背中  あたしの指で 撫でてやる  福を招くの 飽きたなら  赤座布団の 結界捨てて  爪を研いで 眠りなよ  おやすみ アンタ