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英雄と呼べ -桃太郎 inspired by KMF -

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V5

[Intro] 昔ばなしになる前に たしかに国があった 火を囲む夜があり 名を呼ぶ声があった [Verse 1] 山は俺たちのものだった 川も 森も 風の道も 祖らの足跡をなぞるように 子らは土の名を覚えていた だが人は里に降りてきた 畑を広げ 道を通し 我らの土地に線を引いていった ひとつ譲れば またひとつ 退けば さらに海が近づく 守るため持った牙さえも 奪うためだと語られた [Pre-Chorus] 角があるからか 牙があるからか それだけで俺たちは 異形の民にされた [Chorus] 俺たちは 鬼ではない そう呼ばれただけの民だ 土を追われ 火を追われ 鬼ヶ島へ押し込められた 討伐と呼べ 平定と呼べ 勝った者はいくらでも飾れる だが消せはしない この胸の奥の 語れぬ声を [Verse 2] 人にも傷があったことは 知らぬわけではない 襲われた村も 奪われた命も 憎しみを生んだことも知っている 血は血を呼ぶ それはたしかだ きれいごとだけでは済まぬ日もある だがそれでも問いたい 先に追いやられたのは いったいどちらだった 島へ 島へ 追われてゆき 最後に残った岩と潮 子らは故郷を知らぬまま 古い歌だけ受け継いだ [Pre-Chorus] 帰れぬ山がある 帰れぬ森がある 名を呼べぬ故郷だけが 胸の底で生きている [Chorus] 俺たちは 鬼ではない 敗れたゆえにそうされた民だ 国を削られ 名を削られ 鬼ヶ島だけを領土とされた 英雄と呼べ 正義と呼べ それで都が安らぐなら歌えばいい だがその下には 埋もれたままの 語れぬ声がある [Bridge] 桃から生まれた英雄よ おまえもまた願われた者だろう 恐れられた者を討つために 祝福されて生まれたのだろう ならば教えろ 願われなかった側は はじめから悪でなければならぬのか 生きるための怒りさえ 罪と呼ばれねばならぬのか 都は遠く 武勲を記す 杯の上で勝利を語る だが国が滅ぶその音だけは 波と炎の中に沈められる [Final Chorus] 俺たちは 鬼ではない 奪われた歴史の生き残りだ 山を追われ 森を追われ 島の断崖で名を守った 俺たちは 鬼と呼ばれ それでも国を捨てはしない 勝った者には 歌がある 敗れた者には 語れぬ声がある ならば聞け 波の底からなお響く これは恨みだけの叫びではない 滅びを越えて残された 祖国のうただ [Outro] 昔ばなしの裏側で 今日もひとつ 声なき国が沈む