
【ONE SEED/1行】 一粒(ひとつぶ)の今日(きょう)を、手(て)のひらに置(お)く 【TWO NAMES/2行】 大同二年(だいどうにねん)、岬(みさき)の西(にし)に祈(いの)りがともる 金剛定寺(こんごうじょうじ)から、金剛頂寺(こんごうちょうじ)へ名(な)が育(そだ)つ 【FOUR LIGHTS/4行】 平城天皇(へいぜいてんのう)の願(ねが)いを受(う)け 弘法大師(こうぼうだいし)が薬師如来(やくしにょらい)を刻(きざ)んだと伝(つた)わる 嵯峨天皇(さがてんのう)から贈(おく)られた勅額(ちょくがく) 西寺(にしでら)の森(もり)に、長(なが)い時間(じかん)が重(かさ)なる 【Kalimba × E-bow Interlude】 【EIGHT BOWLS/8行】 大師(だいし)の釜(かま)に、わずかな米(こめ)が入(はい)る 湯気(ゆげ)の向(む)こうで、空(から)の器(うつわ)が待(ま)っている 炊(た)き上(あ)がれば、一万倍(いちまんばい)になったと伝(つた)わる ひとりの分(ぶん)が、もうひとりへ渡(わた)る 小(ちい)さな一粒(ひとつぶ)は、弱(よわ)さの印(しるし)じゃない 誰(だれ)かを思(おも)うとき、温(あたた)かさは増(ふ)えてゆく 一粒万倍(いちりゅうまんばい)、願(ねが)いを数(かぞ)える言葉(ことば) 今日(きょう)の優(やさ)しさも、まだ見(み)えない明日(あした)の種(たね) 【Liquid Drum and Bass Passage】 【SIXTEEN LIVES/16行】 十一月(じゅういちがつ)、椎(しい)の森(もり)の足元(あしもと)に 奴草(やっこそう)が、小(ちい)さな腕(うで)を広(ひろ)げる 椎(しい)の根(ね)に身(み)を寄(よ)せて ひとりだけでは作(つく)れない命(いのち)をつなぐ 踏(ふ)まないように、一歩(いっぽ)を選(えら)ぶ 小(ちい)さな存在(そんざい)が、歩(ある)き方(かた)を変(か)えてくれる 寺(てら)から四(よん)キロ離(はな)れた女人堂(にょにんどう) かつて女性(じょせい)たちは、そこから本尊(ほんぞん)を遥拝(ようはい)したと伝(つた)わる 距離(きょり)があっても、祈(いの)りの重(おも)さは変(か)わらない 海(うみ)から吹(ふ)く風(かぜ)は、森(もり)の奥(おく)まで届(とど)く 境内(けいだい)に残(のこ)る鯨供養塔(くじらくようとう) 大(おお)きな命(いのち)へ、静(しず)かな感謝(かんしゃ)を返(かえ)す 小(ちい)さな奴草(やっこそう)も 大(おお)きな鯨(くじら)も 受(う)け取(と)った命(いのち)を、次(つぎ)へ渡(わた)して 同(おな)じ光明(こうみょう)の中(なか)で、生(い)きている 【Half-Time Idol Rock Interlude】 【THIRTY-TWO TOMORROWS/32行】 朝(あさ)、起(お)きられたことが一粒(ひとつぶ) 自分(じぶん)から挨拶(あいさつ)できたことが一粒(ひとつぶ) 苦手(にがて)な問題(もんだい)を開(ひら)いたことが一粒(ひとつぶ) 分(わ)からないと言(い)えた勇気(ゆうき)が一粒(ひとつぶ) 友達(ともだち)の話(はなし)を最後(さいご)まで聞(き)いたこと 誰(だれ)も見(み)ていない場所(ばしょ)で拾(ひろ)ったごみ 送(おく)るか迷(まよ)って、それでも伝(つた)えた「ありがとう」 今日(きょう)は休(やす)もうと、自分(じぶん)に言(い)えたこと どれも賞状(しょうじょう)にはならない 順位(じゅんい)にも、点数(てんすう)にも表(あらわ)れない だけど、なくなったわけじゃない 心(こころ)の土(つち)で、静(しず)かに明日(あした)を待(ま)っている すぐに芽(め)が出(で)ない日(ひ)もある 雨(あめ)ばかり続(つづ)く週(しゅう)もある 誰(だれ)かの花(はな)が、先(さき)に咲(さ)くこともある それでも私(わたし)の一粒(ひとつぶ)は、私(わたし)の速(はや)さで育(そだ)つ 私(わたし)の声(こえ)を、あなたの声(こえ)へ あなたの笑顔(えがお)を、その隣(となり)の人(ひと)へ 分(わ)けたら減(へ)るものばかりじゃない 優(やさ)しさは渡(わた)るたび、居場所(いばしょ)を増(ふ)やす 希望(きぼう)は分(わ)けるたび、遠(とお)くまで届(とど)く 小(ちい)さな行動(こうどう)が、誰(だれ)かの今日(きょう)を支(ささ)える 支(ささ)えられた誰(だれ)かが、また一粒(ひとつぶ)を渡(わた)す そうして見(み)えない畑(はたけ)が、町(まち)の向(む)こうへ広(ひろ)がる 西寺(にしでら)の原始林(げんしりん)を抜(ぬ)け 行当岬(ぎょうどみさき)から風(かぜ)が海(うみ)へ走(はし)る 昨日(きのう)の私(わたし)が残(のこ)した一粒(ひとつぶ)を 今日(きょう)の私(わたし)が、両手(りょうて)で受(う)け取(と)る 今日(きょう)の私(わたし)が選(えら)ぶ一粒(ひとつぶ)を 明日(あした)の誰(だれ)かへ、そっと手渡(てわた)す 一粒(ひとつぶ)だった願(ねが)いが、世界(せかい)を温(あたた)める 金剛頂寺(こんごうちょうじ)、一粒(ひとつぶ)から明日(あした)は増(ふ)える 【Single Kalimba Ending】 (全楽器が一拍で消える) (カリンバ、一音)

