
鳴いそな鳴いそ春の鳥。 菱の咲く夏のはじめの水路から 銀が、みどりが………顫へ來て、 本の活字が目に沁みる。 鳴いそな鳴いそ春の鳥。 赤い表紙の手ざはりが 狂氣するほどなつかしく、 けふも寢てゆく舟の上。 鳴いそな鳴いそ春の鳥。 葡萄色した酒ぶくろ、 干しにゆく日の午後に しんみりと鳴る、櫓の音が……… 鳴いそな鳴いそ春の鳥。 ネルのにほひか、酒の香か、 舟はゆくゆく、TONKA JOHN 魔法つかひが金の夢。 ── ✴︎ ── 北原白秋 『アラビアンナイト物語』 ── ✴︎ ── 【春の鳥な鳴きそ鳴きそあかあかと外の面の草に日の入る夕】 中盤に挟んだのは北原白秋の短歌です (第一歌集『桐の花』より) 月夜鴉 🌐https://tsukiyonokarasu.com

