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北のオーロラ / 最後のオーガ

今夜もまた一人が、不老不死という 呪いのプログラムをエラー終了させた 北のオーロラ 光に還る 妹たち 角を無くした 最後のひとり 雪の家 群れを弾かれ 赤く滲んだ 足跡 ドアを叩いた 凍える影を 抱き寄せる 刃を隠し 怯える瞳 男の目 あまりに清く あまりに美しい その容姿 化け物の棲む 怪談の闇 疑う 「傷は癒えたよ 街へお帰り 月が鳴く」 嘘にまみれた 都会のノイズを 逃げ出して こんな世界の 最果ての地で 見つける 完璧すぎる あなたのその手の 体温 俺の汚れた 過去さえ包んで 融かしていく 私たちは、自由の積載量を誤って、自らの重みで 一夜にして海底へ没した超大陸の幽霊 彼女は笑う 折れた痕跡 指で撫で 自由を過ぎて 海底に沈む 我が故郷 子を生めぬまま 滅びを待つだけの この身 だけど死ねない 還らぬ人の 夢を背に いつか訪れる 終わりの朝を 一人待つ 誰にも言えず 隠した恐怖 夜の底 恋人の声 沈んだ民の 涙の痕 私一人で 抱きしめながら 息をする アンテナを折られ、数百年を無音で生きながらえてきた 最後の一人である私は、その緑の残光を見上げるたび、 自分の骨の髄までシリコンとセラミックに侵食されていく 重力を呪う 勝者の道は 綺麗に舗装 されている 敗者は泥の底で遠い空を仰ぐ 俺はあんたと一緒に泥の道を歩む オーロラの夜 彼らの身体はひとつに重なる 朝の光に 手を繋ぎ合い 歩き出す 奇跡は無いが 過酷なリアル その中へ 幸せの意味 泥まみれの手で 掴む 二人の足音 ノイズの都会に 消えてゆく 接触を避け、ただ絶滅の順番待ちをしていた、 今日、私は彼とともに最後の戻らぬ旅に出る