
白いうさぎが落とした手紙 宛名は雨で滲んでいた 森の奥では赤い花が 昨日と違う方を向く 眠った猫の背中には 小さな鳥が巣を造る 誰も知らない歌を唄って 木の実がひとつ転がった 丘を越えれば海だって 地図にはちゃんと書いてある なのに着いたその場所には 青い森が続いていた ここでは何も不思議じゃない 魚が空を泳いでも 花が秘密を喋っても 誰も振り向きはしない ワンダーランド 知らない道を選んでみよう 帰れる場所は知ってるから 今日は帰らなくてもいい 王様の椅子は空っぽで 冠だけが眠っている 塔のお姫様は髪を切って ひとりで森へ出掛けた 魔女の家には煙突がなく 煙は窓から逃げていく 毒の林檎を齧った鳥が 何事もなく飛んでった 湖に沈んだ時計には 針が一本足りなくて 誰も困っていないから そのまま水草が揺れていた 決められた頁を飛び越えて 狼が花を育ててる 魔女は箒を置いたまま 知らない誰かと踊ってる ワンダーランド 物語からはみ出して まだ知らない続きがあるなら 本は閉じずに置いておこう 森の向こうで鐘が鳴る 白いうさぎはもういない 落とした手紙を開いたら 一行だけが残ってた ページの端を指でなぞる 続きを誰も知らないまま 青い鳥だけ飛んでいく 行き先なんて知らないまま ワンダーランド 最後の頁は空っぽで 物語だけ歩いていく まだ終わりは書かれていない

