
[Intro] [Verse 1] 給湯器が 失恋ソングしか流さない 蛇口をひねると イントロが鳴る ただ手を洗いたい だけなのに 別れのサビまで 浴びせてくる 四十二度の ぬるい未練が 指の間を すり抜けていく 忘れたはずの 名前のあたり 湯気になって 鏡を曇らせる [Chorus] 給湯器が 失恋ソングしか流さない 台所まで 切ない音質 皿の油より 落ちにくいのは 君の最後の 「またね」だった [Verse 2] 給湯器が 失恋ソングしか流さない お風呂の時間が ライブ会場 追い焚きボタンを 押しただけで 冷めた恋まで 温め直す リモコン画面に 涙マーク そんな機能は なかったはずだ 節約モードに 切り替えても 感情だけが 大量消費 [Pre-Chorus] シャンプーの泡が コーラスをして 排水口まで ハモり出す 流れていけよと 思ったものほど 丸い渦から 戻ってくる [Chorus] 給湯器が 失恋ソングしか流さない 停止ボタンも 効きやしない メーカー保証の 対象外です 恋の故障は 自己負担です [Verse 3] 給湯器が 失恋ソングしか流さない でも音痴な声で 付き合ってくれる ひとりの夜に 湯を張るだけで 誰かがそばで 泣いているみたい 悲しい曲は 嫌いだったのに 今夜は少し 助かっている 泣けない私の 代わりみたいに 給湯器だけが 震えて歌う [Bridge] 忘れなさいと 言われるよりも 泣いていいよと 鳴る配管 壁の向こうで 水が走って 胸の奥まで 道を作った [Chorus] 給湯器が 失恋ソングしか流さない 私は湯船で 息を吐く 終わった恋を 消せなくたって 体くらいは 温めていい [Final Chorus] 給湯器が 失恋ソングしか流さない 最後のサビで 少し笑った こんな機械に 励まされるほど 私は今日も ちゃんと弱い [Outro] 風呂上がりには 髪が濡れて 夜の空気が 少しやさしい 失恋ソングは まだ鳴ってるけど さっきより痛く 聞こえなかった 給湯器の声が 静かに止まり 部屋に自分の 呼吸が戻る お湯は冷めても 私は冷めない

