波紋 波紋 波紋 着水 釣り糸は往復し 着水 網が蠕動を止めない 波紋 波紋 波紋 何層にも 日が落ちるほどに 水面はぬるくぬめる 獲物が何であろうと 引き揚げないことがあろうか 確かめないことがあろうか 着水 誰かを看取り 洗い物、排泄、川遊び、契り ひとつひとつは 小さな破片だからこそ 海に流れ着いては ひとつのかたちに近づいていく きっとそれを 引き揚げなければよかった 見つけなければよかった 着水 光輪の先 防風林が 飛ばされてきた悲鳴を留めて その奥に二つの 赤い目が輝いていて 時が流れくる方角を 嗅ぎながら 光が割れ 直線と化し 俺の輪郭と 重なっていく 波紋が波を覆い 波に追い越されて 追い越していく 目が赤く痛む 波紋 波紋 波紋 着水 俺は走り 振り返り 脈を走らせる 目が赤く痛む 夕闇は何も引き揚げない 純粋な波紋 着水 駐車場の脇 アスファルトに寝そべり 氷点下 凍てついた尺度に 体というゲシュタルトは崩壊し 虹彩だけと化す 着水 アクリルの水槽 魚たちがLEDの星々を見て 星は波紋に覆われて ただその向こうに 最上階で服を脱ぎ ルームランナーで息を切らし 水槽の光を数えて 瞬きもせず 輝く消え去らぬあぶくを見ている 波紋 俺 波紋 俺 波紋


