
火星移住計画
「誰か! 誰か止めてくれーーーーーー!! あああーーー 回転が…… 回転が止まらないんだーーーーーーッ!!」 西暦二一四二年── 人類はついに火星に到達した。 待ちに待った第一歩、 その歴史的瞬間を踏みしめる栄誉に 私が…… きのまんが選ばれたのであった! 任せろ人類! 「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、 人類にとっては偉大な飛躍である」 すべてが順調だった。 感動のあまり目から水を噴き出す地球のみなさんを前に、 私は満面の笑みを浮かべていた…… その時までは! だがしかし! だがしかし! 地球から六か月間、 狭い宇宙船でプカプカ揺られていた私は── とんでもない船酔いに陥っていたのであった!! それはまるで超高速メリーゴーランド。 三半規管はゲベッてなって、 世界中のあらゆる万物が グルグル回転していたのである!! 「地球のみなさん、こんにちは!」 カメラに向かい作り笑いをしながら、 胸の奥から込み上げる 酸っぱい“何か”が迫る気配を 酸っぱい何かが迫ってるんだ! (今朝食べたのは何だ……? 持ちこたえられるか……?) 宇宙服のヘルメット越しの火星は、 たしかに涙が出るほど美しかったはずなのだが…… 冷や汗が滝となり、 私にとって景色はどうでもいい―― いま重要なのは…… 世界が、回っているという事実だけであった! 止めてくれ! 誰か止めてくれ!! 私はドリルのように 超高速回転をキメているのだ!!! 右へッ! 左へッ! アドレナリンがプシュー! すべての人類に告げる! 船酔いは気持ちが悪いんだ! 地球に帰らせてくれーーーっ!! ああ…… 火星の大地よ…… うっ なぜこんなにも赤い… うっ こんなにも美しいのだ…… うっ 回っている…… うっ 私の視界が…… 止めろ! 止めてくれ!! 三半規管がバグってる! 私は回る…… 回転している!! 宇宙——それは最後のフロンティア。 「ばっかもーーーーん!」 ------------------------ 🍄lyrics : Kinoman ------------------------

