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匿名のやさしさプロジェクト~VOLⅢ#22~

名札のない手紙が 下駄箱で光る 送り主のいない あたたかい体温 「ここにいるよ」だけ書いた 付せんの四角 だれの字か分からない でも息がほどける 傘立てに一本 多めのビニール傘 帰り道の君へ 見えない橋を一本 上手さより **角度(むき)**がいる 大声より 温度の在りか **拍(はく)**をひとつ 息を合わせれば 沈黙さえも 合図になる 匿名のやさしさプロジェクト 名前はいらない 届けばいい 「がんばれ」より「ここにいるよ」 短い一行で 回路が温まる 心 × エネルギー(エネシン)= 伝わる力 見えないままでも 灯りは点く 自販機の前で ココアを二本だけ 「寒い人どうぞ」と コインが置かれてる 消しカスみたいな 小さな勇気でも 机から机へ 風みたいに渡る 増やすより 削っていい 飾りはいらない 真ん中の温度 “私”より先に “あなた”を主語にして 距離のメモリが ひとつ縮む 匿名のやさしさプロジェクト 顔も知らなくていい やさしさは残る 「つらかったね」を 君の辞書で置いて 返事のいらない歌を そっと置く 心 × エネルギー(エネシン)= 灯る回路 世界の明度が ひとつ上がる (無音の一拍) 正しさよりも あなたの痛点(いたみ) 触れない距離で そっと守る (無音) 受け取りだけでいい ありがとうは風の中へ 匿名のやさしさプロジェクト ゼロだった式に 灯りが差し込む 角度・温度・拍がそろったなら 届かなかった声が 歌へ変わる 心 × エネルギー(エネシン)= 変わる世界 名前のない光が 星座みたいにつながって 「ここにいるよ」を 何度でも 名札のない手紙が 朝にほどける だれでもない誰かの やさしさで始まる一日