
[一節] 坂の途中で 息を整えて なんでもない空を 見上げてた 遠回りにも 理由があるって 言えたら少し 格好いいのにな 風が吹くたび 葉擦(はず)れが笑う 笑われた気がして また笑った 橋の向こうは 知らない町で 渡るつもりも まだなかった 榛(はしばみ)が揺れてる 恥じらうみたいに 始まりなんて あとから付く名前だ --- [橋渡] 帰る 還る 返る道 蛙(かえる)が鳴いて 夕暮れが近い 「また明日」って それだけで 今日がちゃんと 今日になる --- [主歌] 榛(はしばみ)の実が 転がるたび 胸の奥まで 音がした 拾い集めた 欠片なら まだ足りないままでいい 青いままで 歩けばいい 急がなくても 季節は巡る 榛(はしばみ)は何にも 言わないけれど 風だけずっと 覚えてた --- [二節] 夕立あとの 坂道には 乾ききらない 靴の跡 近道なんて 知らないままで 今日も同じ 橋を渡る 背丈ばかり 伸びていって 心だけまだ 追いつけない 実のなる頃には 少しくらい 身の丈を 好きになれるかな 木洩日(こもれび)って こんな色だったっけ 忘れたんじゃなく 見てなかっただけか --- [継節] 誰かになりたい日もあった 誰にもなれない日もあった それでも風は 名前を呼ばず 同じ速さで 頬を過ぎた --- [結歌] 榛(はしばみ)の枝が 揺れるたび 止まってた時が ほどけてく 拾いきれない 欠片でも きっと僕を つくってる 橋を渡れば 始まりがあって 端まで行けば 空がある 恥ずかしいほど 青い日々も いつか笑える 気がしてる 榛(はしばみ)は今日も そこにいて 何も言わずに 風を結ぶ だから僕も もう少しだけ 遠回りして 帰ろうかな --- [終] 葉擦(はず)れひとつ 影ひとつ 橋の向こうで また季節が鳴る

