冷えたガラスのボウル 
浮かぶ薄切りの夜 
薄く伸びた街灯が 
白い指先 染みてく 刻んで 刻んで 
君の話を細くして 
水にさらしたはずなのに 
まだ少しだけ辛い(からい) キッチンの隅で揺れてる 
安いラジオのノイズ 
「大丈夫」って言うたびに 
酸っぱい匂いがした 目にしみる しみる 
玉ねぎのせいにして 
言えないまま 
言えないまま 
夜だけ漬かっていく マリネ マリネ 
君に触れた温度のままで 
しみて しみて しみて 
心の奥まで白くなる 混ざれ 混ざれ 
オリーブ色のさみしさと 
泣いてないよ ないよ 
玉ねぎが痛いだけ フォークで崩れた記憶を 
瓶の底で混ぜていた 
甘くした分だけなぜか 
余計に胸に刺さる 冷蔵庫の青い灯り 
午前二時の静けさ 
レモンを絞るたび まだ 口先だけ酸っぱくて 薄切りの ぎりの 
言葉ばかり増えてく 
時間だけが だけが 
味を変えてしまう マリネ マリネ 
まだ君を抜けないままで 
しみて しみて しみて 
まぶたの裏まで酢が残る 揺れて 揺れて 
ガラス越しの感情が 
透明なのに なのに 
少しだけ濁ってる 刻んで さらして 
痛みをごまかしたって 
辛いまま(からいまま) 
辛いまま(つらいまま) 
朝になる マリネ マリネ 
君を忘れるためなのに 
漬かって 漬かって 
余計に君になっていく 泣いてないよ ないよ 
換気扇がうるさいだけ 
白い 玉ねぎ 
白い 玉ねぎ 
夜にだけ目を刺した