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ネオンの中の輪郭

V5.5

改札を抜ける ガラスの朝 似合う顔だけ 先に選んだ 「元気そうだね」って 軽いひと言 うまく笑えば 今日も始まる スクランブルの波 流されながら 誰かの速度に 靴音を合わせる ショーウィンドウに 一瞬映った 知らないみたいな わたしがいた 上手になった 相槌の打ち方 傷つかない距離の 冗談の返し方 ほんとの声は どこにあるんだろう BGMみたいに 街へ溶けてく きらきらした街のまんなかで なぜかひとりだけ 遠くなる 笑顔はちゃんと ここにあるのに 心だけ まだ追いつけない 人ごみのなか 息をしてる それだけで少し うまくやれてしまう ねえ こんな夜に映るわたしは ほんとうに わたしと呼べるの カフェの窓際で 揃える言葉 場違いじゃないように 甘さを足した 友達の笑いに 少し遅れて 同じタイミングで 頷いてみせる 話題は未来や 誰かの恋で どれも眩しくて 少しだけ痛い 置いていかれたわけじゃないのに なじめない影が 胸に残る 「大丈夫だよ」って 言えるたびにまた ほんとの弱さが 遠くなる気がした 優しいふりも 嫌いじゃないけど それだけじゃ 足りない夜がある きらきらした街のまんなかで なぜか名前さえ 曖昧になる 望んだはずの 暮らしの輪郭 触れたら すぐ消えてしまいそう ネオンの下で 立ち止まれば 誰にも見せない顔が揺れてる ねえ 笑うたび薄くなるなら ほんとうは どこにいけばいい 終電前のホームに吹く風 ほどいた髪が 少しだけ自由で 誰のためでもない沈黙が やっとわたしに 似合った気がした きらきらした街のまんなかで それでも消えずに 残るもの うまく言えない 痛みの粒を 抱いたまま 歩いてみたくなる 作った笑顔が 嘘だとしても 今日までのわたしを 守っていた ねえ まだ答えなんてなくていい この夜に 輪郭を探してる ガラスに映った 小さな影へ 「また明日」って そっと手を振った