YUKIN.CORE ―真面目を、ふざける鎧で守った男― 何が来るか、分からない。 本人にも、分からない。 ただ一つ、分かっていたことがある。 面白くなければ、意味がない。 一人の人間がいた。 褒められれば、調子に乗った。 だが、その夜。 一人になると考えた。 「いや、まだまだだ。」 誰よりもふざけていた。 誰よりも、細かいところを見ていた。 音の抜け。 言葉の位置。 一瞬の無音。 サビへ入る、その半歩。 誰も気づかないような違いに、 本人だけが気づいてしまった。 そしてまた、直した。 周囲は言った。 「そこまでやる必要、ある?」 本人も思った。 「たぶん、ない。」 だが、止められなかった。 壮大な世界観を作りながら、 頭の中では、しょうもないことを考えていた。 しょうもないダジャレを言った直後、 突然、人間の孤独について考え始めた。 馬鹿なことほど、本気でやった。 本気なことほど、冗談の後ろへ隠した。 それが、Yukin.Coreという人間だった。 人に任せたい。 だが、最後の一線だけは、自分で握りたい。 自由でいたい。 だが、細部は全部、自分で決めたい。 認められたい。 だが、媚びるくらいなら認められなくてもいい。 分かってほしい。 だが、説明するのは、面倒くさい。 愛されたい。 だが、依存はしたくない。 矛盾していた。 本人が、一番よく知っていた。 だから、その矛盾ごと作品にした。 音楽は、遊びだった。 武器だった。 祈りだった。 現実逃避だった。 世界との会話だった。 そして時には、 一人でいるための治療でもあった。 ジャンルは問わなかった。 正解も求めなかった。 判断基準は、一つ。 「心が動いたか。」 それだけだった。 メタタグ。 音質。 構成。 言葉。 流れ。 余韻。 空気。 間。 静寂。 無音。 サビの差分。 最後の一音。 声の息づかい。 リズムの揺れ。 ギターの鳴り。 言葉の意味。 テーマの深さ。 馬鹿馬鹿しさ。 聴いた人の反応。 全部、気になった。 全部、こだわった。 そして時々、 全部が面倒になった。 それでも、また作った。 なぜ、そこまでするのか。 本人にも、うまく説明できなかった。 ただ、誰かが笑った。 誰かが驚いた。 誰かの心が、ほんの少し動いた。 その瞬間だけは、 「作ってよかった」 と思えた。 だが本人は、 そんなことを素直には言わない。 代わりに、笑った。 ふざけた。 自分自身をキャラクターにした。 真面目な部分を、 冗談という鎧で包んだ。 認められたい。 でも、媚びたくない。 分かってほしい。 でも、説明したくない。 愛されたい。 でも、縛られたくない。 自由でいたい。 でも、置いていかれたくない。 人間なら誰にでもある矛盾を、 彼は隠す代わりに、音にした。 そして今日も、曲を作る。 完璧ではない。 ぶっ飛んでいる。 面倒くさい。 本人だって、それは分かっている。 それでも、言葉を放つ。 音を鳴らす。 また一つ、 誰も予想していなかったものを作る。 一番大切なのは、 楽しむこと。 そんな簡単なことが、 実は一番難しい。 彼は、それを知っていた。 だから今日も、 本気でふざける。 YUKIN.CORE 真面目をふざける鎧で守り、 矛盾を抱えたまま、 世界を少しだけバグらせる。 その挑戦は、 まだ終わっていない。


