
[Intro] 朝の Capsule Wave 昨日まで 空いていた場所に ぴかぴかの 新しい Machine 「今日からよろしく。」 「……よろしくお願いします。」 左には 少し古い Machine 右には もっと古い Machine 僕だけまだ 一度も 回されたことがない [Verse 1] 最初のお客さん 近づいてくる 「来たよ。」 「え、もう?」 「もう。」 チャリン 「入った!」 「静かに。」 手がハンドルに触れる カチッ カチッ 「回ってる!」 「知ってる。」 ガラガラ…… 中の Capsule が 僕の身体を走っていく そして 初めての―― ゴトン! …… 「……え?」 [Pre-Chorus] 今の音 どこから? 左? 「違う。」 右? 「違うよ。」 じゃあ…… 「僕?」 「そう。」 「僕が出したの?」 「そうだよ。」 …… なんだかもう一度 聞きたくなった …… ゴトン [Chorus] はじめてのゴトン ゴトン! …… ゴトン 一つしか 出てないのに もう一度 聞こえてくる はじめてのゴトン 僕の中から 生まれた音 誰かに教わった 音じゃない 今日初めて知った これが 僕の音 ゴトン! …… ゴトン 「何してるの?」 「もう一回、聞きたくて。」 [Verse 2] 次のお客さん チャリン 今度は少し 落ち着いて カチッ カチッ ガラガラ…… ゴトン! …… ゴトン お客さんが 取り出し口を見る 「……二個?」 ひとつだけ 「変だな。」 左の Machine が 小さく笑う 「またやった。」 「だって。」 「だって?」 「いい音だったから。」 三人目 ゴトン! …… ゴトン 四人目 ゴトン! …… ゴトン 何度聞いても まだ少し うれしい [Pre-Chorus] Capsule が落ちるたび 僕は知っていく 重さが違えば 少し低く 転がり方で 少し長く 同じゴトンなんて ひとつもない だから毎回 聞き終わったあと 小さくもう一度 …… ゴトン [Chorus] はじめてじゃないゴトンも ゴトン! …… ゴトン 一つずつ 違って聞こえる だからまだ 真似したくなる 誰かには ただの音でも 僕には全部 新しい Capsule Wave で 今日覚えた 僕だけの 小さな声 ゴトン! …… ゴトン 「まだ感動してる?」 「うん。」 [Bridge] 一週間 一か月 季節がひとつ 変わるころ チャリン カチッ ガラガラ ゴトン …… もう 二度目の音は 聞こえなくなった 左の Machine が聞く 「飽きた?」 「ううん。」 「じゃあ、どうして?」 少し考えて 「もう覚えたから。」 僕の身体が 僕の音を ちゃんと 覚えたから [Break] それから いつもの午後 チャリン カチッ ガラガラ…… ゴトン! …… 静か 左の Machine 「もう感動しないの?」 …… 「するよ。」 [Final Chorus] はじめてのゴトンは もうずっと前 だけど Capsule が 落ちるたび 今でも少し うれしくなる 大きく言わなくても 二度鳴らさなくても この身体の奥で ちゃんと響いてる ゴトン 今日もひとつ ゴトン またひとつ 誰かの手へ 送り出すたび 僕は僕の音を 聞いている [Outro] 閉店後の Capsule Wave 左の Machine が 「今日もいい音だったな。」 「うん。」 「じゃ、おやすみ。」 「おやすみ。」 照明が消える …… 静かな店内 …… 「ねえ。」 「なに?」 「やっぱり一回だけ。」 …… ゴトン …… 「聞こえてるよ。」 「……ごめん。」 「別に。」 …… 「いい音だな。」 …… 「うん。」 はじめてのゴトン まだ 少しだけ うれしい

