ポストの影に潜みながら 「こんにちは」の練習、百一回目 売るのは僕のスペック表 欲しい人なんて いないと知ってる ピンポン押したら 逃げるように 玄関の隙間で否定される 「価値がない」と言われた気がして 紙を抱いて 田んぼに沈む 僕は カタログ男 値札のついた 自分という亡霊 「どうかあなたの生活に、 この機能、必要ありませんか?」 それが愛の代わりだった 捨てたはずの心の奥で 誰かの声が 紙をめくった “生きててよかった”その一言 乾いた視線が 初めて涙になった 誰かにとっての「どうでもいい」が 僕の全てかもしれないなら 無駄に思えた今日という日も 売れないままの僕に意味をくれる だから、戦う 名もなきページ 資源ごみの山を越えて 誰にも読まれなくてもいい 君の声だけが 僕を人間にしてくれた ページを閉じても、 僕はここにいる


