Song Cover Image

小さな橋の架け方~VOLⅡ#13~

+ Show full styles

机と机のあいだ 声はまだ届かない 消しカスみたいな勇気を そっと集める うまく笑えない朝 視線が床を歩く プリントの端っこに 言えない言葉を書く 「大丈夫?」は重いから 今日は言わない 代わりにカード一枚 “ここにいるよ”だけ 上手さより **角度(むき)**がいる 声量より 温度がいる **拍(はく)**をひとつ 息を合わせたら 沈黙さえも 合図になる 小さな橋の架け方 長い説明より 短い「いま」を渡す 手の中のカードが 手の中で温まる 心 × エネルギー(エネシン)= 伝わる力 声が小さくても 灯りは点く 机と机のあいだに 細い橋がかかる 給食の時間に 席替えの影法師 あなたのスプーンの音 少しだけ揺れた 「無理に話さなくていい」それでもここにいる 頷きひとつ分だけ 距離のメモリが縮む 増やすより 削っていい 飾りはいらない 真ん中の温度 “私”から“あなた”へ 主語を入れ替え 同じ高さで 目を合わせる 小さな橋の架け方 「がんばれ」じゃなくて 「つらかったね」を 同じ言葉でも 置き場を変えれば届く 心 × エネルギー(エネシン)= 灯る回路 沈黙のあいだも とぎれないように 胸のメトロノームで 拍を数える (無音の一拍) 正しさよりも あなたの痛点(いたみ) 触れない距離で 守れることがある (無音) 「聞いてるよ」——それだけで 凍ったページに 文字が浮かぶ 小さな橋の架け方 ゼロだった式に 灯りが差し込む 角度・温度・拍がそろったなら 震えごと抱いたまま 渡してみよう 心 × エネルギー(エネシン)= 変わる世界 教室の真ん中で やさしさが立つ 細い橋でも 何度でも 架けられる 放課後の廊下 光が長くのびて また明日も 同じ拍で 会いに行く