体育のひ くちびるがすぐ白くなった ほどけやすい靴紐を 強く結んだ 体力がなかった それがはじまり ビリでも笑って 冗談で隠した 肉体的に負けたくなかったから 背伸びを覚えた 息は浅いまま 「平気だよ」って地面を蹴った 胸のざわめきだけ 本当だった 等身大で 旗を立てよう 一歩ぶんの布でいい 負けた数より 選んだ数を そっと指で数えてみる 誰でもない僕を掲げて 今日は僕の速さで行こう 等身大ではなかったことは 知っている でも、隠したかった 子どもの頃はね できるふりの鎧は 軽くはないけど 怖 比べ合う丘の上 風がうるさい 耳を塞いだら 鼓動が合図 等身大で 旗を立てよう 泣き笑いの色でいい 拍手より先に 自分の肩を 静かに二回叩いてみる 誰でもない僕を掲げて 今日は僕の速さで行こう 体力がなかった自分が きっかけだった 強がりに名前をつけて 育ててしまった 「負けたくない」が 「見せたくない」になり 長い影だけ 伸ばしていた 呼吸して ただ呼吸して 床の温度が 味方になる 等身大で 旗を振ろう 今ある声で十分だ 傷の地図ごと 愛してみよう 歩いてきた証だもの 誰でもない僕を掲げて 明日も僕の速さで行こう 靴紐むすび直す 小さな音 それが ほんとのスタート合図だよ



