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刻を渡る三途道

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V5

八百八町  寝静まる頃 私の仕事は ここから始まる 迷い猫一匹  どぶ板の隅 埃に塗れた しがない稼業 ​便利屋さん、 あれを聞いたかい? 長屋の噂は毒より回る 丑三つ時、あの大橋を 渡れば最後  黄泉への 片道 ​霧に沈んだ 大橋の真ん中 手招きするのは 白き指先 妖か幽霊か 正体見たりと 啖呵を切れば 引き摺り込まれる 奈落の底へ 袖を翻し  私 は 往 く ​懐に隠した 錆びた十手 雑用(しごと)の ついでに  引導を渡そう 人の恨みか この世の未練か 見えない鎖が 足首に絡みつく 生死の境で ニヤリと 笑う ​三途の川面に映る月影 逃がしはしないよ  この事件( やま )だけは 嘘か、誠か この眼で暴いて 引きずり戻す 江戸の夜明けは まだ遠いけれど 地獄の門まで 追い 詰めてやる ​​橋の向こうで  三毛猫が鳴いた やれやれ、高くつくよ 今回の依頼は ​煙管の煙が 闇に溶けて 私は独り、 現へ帰る...