
Reheart
╭─────── ✦ 𝐂𝐎𝐍𝐂𝐄𝐏𝐓 ✦ ────────────╮ 夢は、最初から「何になりたいか」じゃない。 誰かが笑った。 自分も嬉しかった。 だから、もう一度見たくなった。 そのために手を伸ばして、 好きなものを見つけて、 何度も繰り返しているうちに、 いつか世界がそれに名前をつける。 Reheart ── 心が動いた場所へ、もう一度。 ╰──────────────────────────╯ 「将来の夢はね 名詞で書きなさい」 四角いその枠が 偉そうに睨む 医者、教師、美容師 料理人を並べ 国語辞典から 拾ったバーコード 隣のあいつは 迷いもないまま ラベルをひとつ 机に貼りつけた なあ、僕のからだを どこまで探しても 六十兆もある 細胞のどこにも 名前のひとつも 刻まれてないんだ 空欄ひとつで 世界の外側 僕だけ置かれて そんな気がしてた シャープペンの芯が 止まった僕より 一ミリぶんだけ 削れて落ちた 思い出したんだ いつかの冷蔵庫 卵とチーズと 食パンのフュージョン 計画なんてない それでも火をつけた 端っこは炭化 黄身まで決壊 「なにこれ」って母が 笑って食べていた あの日、あの瞬間 僕のDNAが 進化の向きを 決めたんだ 夢が僕らに火をつけた 「もう一度」と名をつけた 笑った声を覚えた手が 未来のほうへ伸びていく まだ空欄でいい 消せるくらいでいい 心は先に選んでいる 名前のない もう一度を 「普通にうまい」って なぜだか悔しくて 岩みたいなパンが 僕を睨んでる 次こそ焦がさない パンに切れ目を入れ 温度を変えたら 時計とにらめっこ 失敗ひとつで 一段のぼった また焼きなおす 螺旋をのぼってく トライ・アンド・エラー 果てなく繰り返す 人類が立った日 最初の朝だって 昨日よりうまく やりたかっただけさ 僕にとってここ ダーウィンの海だ 焼いてまた焦げる 笑ってまた焼く 何度でもこの手が 昨日の僕より 一ミリぶんだけ 未来へ伸びた それでも迷わず 二口目まで食べた さっきと違って 君のその笑顔が 僕の胸を撃った 料理人じゃないさ 偉人でもないさ ただもう一回 もう一回だけさ あの顔が見たくて それだけだったんだ 僕のDNAが 進化の向きを 決めたんだ 夢が僕らに火をつけた 「もう一度」が背を押した 失敗のあと伸びた指が 同じ方角へ伸びてく 笑ってくれたから 悔しかったからさ 心は先に歩いている 名前のない もう一度で 「医師」 眠れなかった夜 「美容師」 鏡で泣いた朝 「教師」 ほどけなかった問い 「歌手」 歌で動いた胸 本当のことは知らない! 知ったこっちゃないけど! 誰かが大急ぎで貼った 「名詞」のその手前で 僕らの「動詞」が血を流しながら まだ動いてるんだよ! 夢は未来にないんだよ 名札なんかじゃなかった 誰かが笑ったその場所へ 何度も伸ばし続けた手 薄い文字でもいい 変わるくらいでいい 心が選んだこの道へ 世界があとで名をくれる あの日からずっと もう一度だけ あの顔が見たかった それだけだった それが始まりだった

