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📻【久米宏「ラジオなんですけど」風・独白】

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## オープニングトーク:房総半島の富士山と、崩れゆく日本の農業 こんにちは。久米宏です。 今週はずっと天気が良くてね、週の初め頃にちょっと用事があって、房総半島の先端の方まで行ってきたんですよ。そうしたら、もう雲ひとつない快晴でね。そこにいたみんなが「ああっ!」って声を上げたんです。 目の前にね、富士山がどーんと見えるんですよ。 「おい、ここからこんなに綺麗に富士山が見えるんだ」と思って、後でしげしげと関東地方の地図を見返してみたんです。そうしたら、なるほど確かにこういう位置関係なら見えるんだわな、と。それで地図を見ていたら、いろいろと思うところがありましてね。……まあ、その話は来週ゆっくりすることにしましょう。今週、他に頑張った話がありますから。 今日はね、本の話をしたいんです。 去年の11月に出た『愚者の質問』という、倉本聰さんの対談集です。倉本さんがご自身を「愚者」と卑下して、いろんな分野の専門家という「賢者」を呼んで教えを乞うという本なんですが、これがなかなか面白い。 その中で、丸紅経済研究所の柴田明夫さんという「農業の賢者」との話が、非常にショッキングなんです。 まずね、日本は海外から農作物を毎年3,000万トン近く輸入している。ところが、そのうち実際に我々が食べているのは1,000万トンだけなんです。あとの2,000万トンはどうなっているかというと、半分は食品加工の段階で形を揃えるために切り捨てられて廃棄。もう半分は、家庭の冷蔵庫の中でダメにしたり、食べ残したりして廃棄。つまり、せっかく輸入したものの3分の2を捨てているんです。 その一方で、日本の農地はガラガラなんです。 昔、若い人をどんどん都会に集めて工業で国を豊かにしようとした時に、農家の収入が減らないように政府が米の値段を高く設定した。その後、農業機械が発達して「三種の神器」なんて呼ばれる田植機やトラクターが普及したおかげで、農作業が10分の1の労力で済むようになったんですね。 そうなると、どうなったか。 平日は会社に勤めて、土日だけ農業をやる「兼業農家」がやめなくなった。さらにバブルや新幹線の開通で「土地を持っていればいつか数億円で売れるかもしれない」という欲もあって、土地を手放さなくなったんです。その結果、農地がバラバラなままで大規模化も進まず、効率の悪い農業が続いてしまった。 でも、それももう限界です。 今、日本の米作りを支えている中心層は「昭和一桁生まれ」の人たちですよ。もう70代、80代です。柴田先生が話を聞くと、みんな口を揃えて「いつやめようか」と考えている。先祖代々の田んぼだから勝手にはやめられないけれど、「トラクターが壊れたらやめよう」「病気になったらやめよう」と、きっかけを待っている状態なんです。 主力である昭和一桁の人たちが一斉に引退する。柴田さんは、あと2、3年もしたら日本の農業は一気に崩れるんじゃないかとおっしゃっている。これはね、大変なことですよ。 end