去年はここを通るたび あなたは私の腕の中から 見上げていたね 「きれいだね」って話しかけても あなたはまだ眠そうで 小さな隙間から 空だけを見ていたっけ 玄関で履いた 小さなスニーカー 地面をしっかり踏みしめて 「こっちだよ」って笑う顔が なんだか急に 頼もしく見えた 今年はひとりで 立って見られるね 私の胸の高さじゃなく あなたの背丈で感じる春 舞い落ちる花びらを 不思議そうに追う姿 大きくなったね 本当に大きくなったね 目の前の桜が 去年より眩しいよ いつの間にか軽くなった 抱っこ紐の重みとか 少し前まで私のすべてが あなたの世界だったのに 繋いだ右手の その温かさだけが 今は私を頼ってくれてる もう少しだけ ゆっくりでいいよ 時計の針を 止めたくなるの 今年は手を繋ぎ 並んで見上げよう ふらつきながら 一歩ずつ 歩いていくその先へ 抱っこして欲しくて 泣いていたあの春も 愛しい思い出 アルバムに仕舞うように あなたの歩幅で ゆっくり歩こうね いつかこの手を離して 遠くへ駆けていく日が来ても きっと今日の桜を 私は忘れない 柔らかい風と 小さな手のひら