
冬の名残が溶けてゆく頃 大地の下で 目覚めの息吹 「いよいよ生い茂れ」と 古の人が名付けたこの時を いやおい やよひ やよい 言葉が移ろうように 季節もまた 姿を変えて 緑を連れてくる 弥生の空は 霞にけぶり やわらかな光が 野に降りそそぐ 草木よ いよいよ伸びてゆけ いのち萌ゆる月 弥生 文京の丘で土に眠ってた 器のかけらが時代を拓いた 弥生と名を受けた 土器が繋ぐ 遥かな暮らしの記憶 桃の節句に 雛を飾れば 川に流した 禊の祈り 穢れよ去れと人型に託し 平安の風が薫る 弥生の空は 霞にけぶり やわらかな光が 野に降りそそぐ 草木よ いよいよ 伸びてゆけ いのち萌ゆる月 弥生 三月生まれの女の子に贈る 春の力を その名に込めて 「弥生」と呼ぶたびに 花がひらくような 笑顔が咲く 万葉の野辺に若菜を摘んだ あの日の人も同じ風のなか 睦月 如月を越えた先に 待っていたのは この季節 弥生の空は どこまでも続き 千歳の想い春に重なる いやおい やよひ やよい 言葉が歌になる 草木よ いよいよ 伸びてゆけ 人よ いよいよ 歩んでゆけ いのち萌ゆる月 弥生 ああ 美しき名よ 弥生

