
【1番】 大晦日 仕事納めの夜 冷え切ったホームに滑り込んだ ブルートレイン 行き先なんて どこでもよかった 開いたドアに 吸い込まれるように飛び乗った ガタタン ゴトトン 遠ざかる日常 窓の外 流れる灯を枕に 僕はいつしか 眠りに落ちていた まぶしい光に 目を開ければ 終着駅は「長崎」 知らない風が頬を撫でる 地図の前で 途方に暮れていたら 「何かお困りですか?」 鈴のような声 【2番】 振り向けば ミルクチョコ色のコート ベレー帽の下 微笑む瞳 その手の 諏訪神社の破魔矢が 冬の朝日に キラリと光った 見ず知らずの僕の 震える背中を あなたの優しさが そっと押し上げてくれた 石畳の坂みち 路面電車の響き 二人で見上げた 大浦天主堂 【サビ】 「美味しいね」と笑い合った 吉宗の茶碗蒸し 初めて来た街なのに なぜか懐かしかった 眼鏡橋を渡り 異国の風に吹かれて あっという間に 夕闇へ溶けていく 【3番】 駅の案内図の前 戻ってきた現実 「また、お会いしましょう」 喉まで出かかった言葉 飲み込んで 僕は「さようなら」と告げた あなたの幸せを 破魔矢に祈るように 遠ざかっていく ミルクチョコ色の後ろ姿 何度も振り返りながら 人混みに消えていった 【大サビ】 あれから何度 冬が巡っても あの日の長崎を 僕は忘れない 名も知らぬあなたの さりげない温もりが 凍えそうな僕の心を 今も温め続けている 【アウトロ】 ガタタン ゴトトン 今度はどこへ向かおうか あの日くれた 長崎のやさしさを鞄に詰めて

