
カラマツの森に風が抜けてゆく 冷えた空気が肌をなでる 誰もいないテラス 椅子を片づけ ひと夏の余韻を冷ましてゆく 重い扉を閉め鍵を回せば 夏のノートが終わりを告げる ガラスの向こうに佇むピアノ 誰もいない部屋 影が伸びてゆく 読みかけのページに枯れ葉のしおり そっと払えば秋の気配が 重い扉を閉め鍵を回せば 次の夏なんてどこにもない ハンドルを握り坂を下りれば 白い霧の向こう 全てが薄れる アイドリングの音 白に吸い込まれ 君と行った場所 もう見えなくなる 重い扉を閉め鍵を回せば この道はもう通ることはない ルームミラーには夏の幻 霧にかすんだ避暑地の午後 重い扉を閉め鍵を回せば ふたりのノートが終わりを告げる

