
冬の夜を裂く ひとつの産声 震える腕が 未来を抱きしめた 「幸せになれ」と願う声が 静かに あなたを照らしていた 幼い痛み、春のぬくもり 七五三の紅、遠足の涙 擦りむいた膝を 優しく包む手 「大丈夫だよ」その一言が 弱い心に 根をはらせた 痛みの中で 優しさを覚えた 白い息が 空へ消えた 初めて触れた“死”のぬくもり 親の背中が震えていた あなたは知った 生きるとは 奪われる痛みを越えること 泣きながらでも進め 倒れながらでも掴め あなたの中には 受け継がれた祈りがある どんな闇にも負けない 親が灯した光を抱いて あなたは進む ――命の航路を 成人式の空、焦りの風 理想とは違う夜を歩いた だけど思い出す 「生きてるだけでいいんだよ」 その声が 折れそうな心を救った 子が生まれた日 小さな指が あなたを掴んだ 初めて知った―― 守るという愛は 戦うより強いこと 運動会の涙 受験の夜の祈り 眠れぬ看病の朝 「代われるなら代わりたい」 それが親の愛の重さ 自分が歩いた苦難を 今は抱きしめられるようになった あなたが泣いた日々も 笑った季節も すべてが誰かを愛する力に変わる 親から子へ 子から明日へ 命のバトンが渡される ――この胸の炎とともに 親を見送り 子が大人になり 季節はめぐり 光は巡る 正月の団らん お盆の灯火 夏の花火 そのすべてが 家族の歴史を照らしていた 苦難を越えて 涙を越えて あなたは確かに“生きた” 愛して 愛され 渡して 受け取り 繋いできた命の灯 百歳の夜に思う 「私は誇りを持って生き抜いた」と 光が天へ昇る その最後の瞬間―― 親の祈りも 子の笑顔も すべてが一つの旋律になり あなたを包む 産声から始まった物語は 未来へと続いてゆく 愛の形を変えながら 永遠に

