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遺物 01 《雨の夜の調律表》【Part 04】ノイズの奥の音叉

[Voice: Focused, lower pitch, intimate close-mic] ヘッドホンから流れる重いノイズを、波形編集ソフトで慎重に削ぎ落としていきました。 低周波の暗騒音をカットした瞬間、私の耳に、老人の微かな呼吸音が届きました。 そして、その静寂のただ中に、硬質な金属の響きが紛れ込んでいたのです。 「コン……コン……コン……」 時計の音ではありません。それは、調律用の音叉の共鳴音でした。 ピアノのない部屋で、老人は音叉を鳴らし続けていたのです。 しかも、その打鍵の間隔には正確なリズムがありました。 叩いて止める短い音、長く響く音。 それは、音叉の音を使ったモールス信号でした。