
君の手を握ったまま 違う誰かを見ていた ほんの一秒のことなのに 胸の奥が黙り込んだ 駅前のガラスに映る 僕は少し疲れた顔で 君の話にうなずきながら 別の笑顔を追いかけてた 好きじゃないわけじゃない 冷めたわけでもない それなのに心だけ ふいに席を立ってしまう こんな僕を君が見たら どんな顔をするだろう 泣くのかな 笑うのかな 何もなかったみたいに 明日の話をするのかな 目移りの向こう側で 僕は僕を見失って 君を大事にしたいほど 息が苦しくなっていく ただ見てしまっただけだと 言い訳を並べても 君の横顔が優しいほど 僕はイヤな黒になっていく あの人は気づいてるかな 僕の視線の行き先に 気づかないふりをしてるのかな それともただの自意識かな 何も始まっていない 何も壊していない だから平気だなんて そんなふうに思えたらな 君の好きな歌を流して いつもの帰り道を歩く なのに僕の胸の中じゃ 知らない誰かの声が 小さく揺れて消えない 目移りの向こう側で 僕は君に嘘をついて 言葉にしてないだけの 影を抱えて笑ってる 好きという気持ちだけじゃ 守れない夜がある 君を傷つけたくないのに 僕が僕を汚していく もしも全部話したなら 君は僕を責めるかな それとも 「そんな日もあるよ」って やけに優しく言うのかな その優しさが怖いんだ 許されたいわけじゃない ただ僕はまだ君の隣で ちゃんと胸を張れない 目移りの向こう側で 僕は誰を探してた 君じゃ足りないなんて 思ったことはないのに ほんの一瞬の揺らぎが 夜を長くしていく 君の寝息が静かなほど 僕は眠れなくなっていく 君の手を握ったまま 違う誰かを見ていた それでも明日も隣で 君を選びたいと思った 思ったんだ でもまだ 胸が痛いんだ

