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金平糖

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庭の蝉が今日はやけに騒がしい あいつらは何を叫んでいる 愛の歌か 存在の証明か 死に損なった幽霊には同じに聞こえる 俺は長男だった 剣で 盾で 家の名を松明のように掲げてきた だが戦場は欲しいものだけ奪っていった 光を恐れる男だけを送り返した お前の手を取りたくない 一人で歩いていたいから お前の手を取りたくない きっと縋ってしまうから だから行け 行ってしまえ その光に相応しい誰かを見つけろ お前がいなくなれば本当に何も残らない それだけが俺の望みだ 懐にずっと忍ばせていたんだろう 砂糖と硝子でできた小さな星を 腹は空いていないかと聞いてくれた 空腹なんて忘れていた だけど お前の空なら欲しいと思った 金平糖が俺の掌に煌めく 手を伸ばしてももう届かない星のように 俺の手はもうあんなに遠くへは届かない だけどお前がくれた星は 俺の内に静かに瞬いている 良くなぁれ お前のまじないは どれほど俺が惨めか思い知らせるだけだ 俺が愛される理由はない お前が愛される理由はある この男以外の誰かに お前の手を取りたくない 一人で歩いていたいから お前の手を取りたくない きっと縋ってしまうから だから行け 行ってしまえ その光に相応しい誰かを見つけろ お前がいなくなれば本当に何も残らない それだけが俺の望みだ お前を幸せに出来る男で居たかった お前を守れるくらい高く立っていたかった だが見ろ 今の俺を 半分焼けて 半分欠けて それでもまだ何でもない顔で笑おうとしている お前の手を取りたくない なのにお前の指が俺を見つける お前の手を取りたくない なのに握っているのは俺の方だ 行くな 行くな ああ もうお前にすら嘘がつけない お前が全てで 俺は何もなくて それでもお前はまだ俺の前に膝をついている 忘れていた空腹がよみがえる 小さな星がひとつ 舌の上で溶ける お前がくれたものは返せない お前は 来るべきじゃなかった でも来てくれた 来てくれたんだ