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ラピュタ崩壊後の春夏秋冬

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V5.5

***春 ――芽と霧 霧の薄膜がほどける朝 石の継ぎ目から 若葉が脈を打つ 水面に落ちた花粉が 風の方向を教える 崩れた回廊には 白い小花と湿った苔 触れられた記憶を持たず それでも 確かに始まっている 芽は問いを知らず 霧は境界を消す 春は 世界をやわらかく誤解させる ***夏 ――光と水 太陽が高さを固定し 葉は影という器官を持つ 蔦は塔を登り切り 石は 樹皮の顔になる 満水の湖が空を二度つくり 風は長居を決める 水音だけが 時間を測っている 蝉はいない それでも 過剰な緑が 鳴るように揺れ 夏は完成のふりをする ***秋 ――実と色 赤く熟した実が重力を思い出し 誰にも拾われずに落ちる 葉は終わりを知り 静かに 色を変える 金属の梁に絡む蔦は 錆と同じ色になり 音は短く 空気は澄みすぎていく 蓄えすぎた世界が 少し軽くなり 島は 透明度を増す 秋は 保持しないことを 肯定する ***冬 ――雪と静止 雪は高度を測る秤となり 塔も森も ひとつの白に折り畳まれる 水は凍り それでも死を表さず 脈を止めた思考のように そこに在る 風は形を持たず 輪郭は溶け 落下しない島だけが 沈黙として浮かぶ 冬は 何も語らず すべてを同列に置く ***循環 ――島 芽は雪を覚えず 光は実を悼まず 季節は互いを評価しない 誰もいないから 徴だけが残り それで充分だと 世界は知っている 理想郷ではない 奇跡でもない 空に残された 自然の思考 島は飛ぶ 理由を持たず 名前もなく 四季だけを抱いて